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ヌードデッサン

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Byはだかん萌

nude dessin

コレで何回目だろう?まだ慣れないヌードデッサンの時間。デッサンルームの片隅にあるボックスの中に、すでにモデルさんは待機してるらしい。先生がボックスのドアを開けて軽い打ち合わせをしてたから判る。男のモデルさんだってこともスグに判った。描く側の私たちは40人くらいいるのだから私が緊張するのはオカシイ話だけど、やっぱり何度経験しても男性のモデルさんにはドキドキする。。。

前に他の子が先生に聞いてるのを耳にした。
「なんでヌードデッサンをする必要があるんですか?服着てちゃダメなんですか?」と。

先生は「裸婦画は元々、貴族のお遊び、趣味から始まったとも言われている。当時は当然写真なんてものがなかったから、”芸術”と位置づけて著名な画家に描かせたとも言われているな。つまり現代とさほど変わらない。”エロ”から定着したと言われているよ。」

その子は言った「じゃあ、男の人の裸は?」
先生は答えた「女性の貴族のオーダーもあっただろうし、当時はホモセクシュアルは今より普通のことだっただろうからね。ただ、気高い貴族がおおっぴらにそんなことは言えない。だから”芸術”というベールで覆ったんだよ。おそらく。なにより画家自身にもそういう嗜好はあったと思うよ。」

そうなんだ。事の発端は”下心”。確かに現代人と大差ない。メディアの発展は今も昔も変わらないんだと思った。

そんな回想に1人ふけっていると、始業のベルが鳴った。先生の説明が始まる。「今日は男性のモデルを描いてもらいます。今日のモデルは描きやすいと思うけれど時間内で仕上げてください。」

そう言ってボックスをノックした。モデルさんが中央の台に向かう。この時が一番なぜか気まずい気分になる。まともにモデルさんを見れず、無駄に木炭を眺めたり、服装を整えたり。。。そして中央に立ったモデルさんが軽く挨拶する時になってようやく見れる感じ。同年代のすごいイケメン。白いガウンに褐色の顔と鎖骨が色っぽい。ガウンの裾からは素足のスネから下が台を踏みしめてた。


先生の合図で彼はガウンの帯をほどき全裸を見せる。

”今日のモデルは描きやすい”の意味がスグに判った。彫刻の像のようなモデルさん。各部がクッキリとパーツに別れた見本のようなカラダだ。

いつも思うけれど、表情に出す子、隣の子とコソコソ話す男子、平然としている子、いろんな反応がある。慌てて位置をお尻側に移る子、軽い感じの男子なんかはニヤニヤと少しはモデルさんを気づかえば?って言う子もいる。私は他の子の目にどう写ってるんだろ。。。

先生がポーズを決め、彼は指示通りに茶色に染めた髪の後ろで手を組んだ。腕の根元の黒い毛と、まだハッキリ見れないあの部分の黒い毛がリアルにうっすら視界に入る。明るいブラウンの髪と対照的な真っ黒な陰部の毛がとても卑猥な気持ちにさせる。非日常的な彼のヌード姿に、なんとも言えない雰囲気がある。

「じゃあ、始めてください。」

落ち着いた先生の声で、休憩を挟む90分が始まった。彼は床を見つめてジッと立っている。ココに来て、ようやく私は彼の裸を黙認する。スジ彫りのように刻まれた線は、まるで各部を描きやすいようにしたかのような。そして大人の男の色気ムンムンの毛。ダビデよりもクッキリした無駄がない肉体とダビデのように皮に包まれた男性器。DQNな男子はソレを笑ってたんだろうか。アナタ達、人のこと笑えるの?

ヌードデッサン

40数名の同世代に囲まれて、1人、裸で立つ彼が40数枚のキャンバスに、それぞれの画力でモノトーンに描き込まれて行く。芸術とエロティシズムが交差する空間と時間。少なくても、この空間、この時間では彼をモデルとして観察する。

貴族の血なんか微塵も流れてないけれど、当時の貴族、女性や同性愛者の気持ちが判る。表には出せない感情は誰にだって私にだってある。こうも完成された題材は記憶に残り、夜、部屋で1人になったら、このキャンバスの彼を眺めて、今日のこの眺めをきっと思い出してしまうと思う。。。

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